sia_org.gif 学生団体スキーレッスン - 俺たちは犯罪者じやない
           2005/10/16



透明スペーサー
  もっと真面目に良いレッスンをしよう
    担当コーチは当然だが、より大きく・根本的な責任は校長、副校長、主任にある
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◇はじめに

 学生団体の担当コーチの手抜きレッスンによって、二度とスキーをしたくなくしている悲惨な例があるようです。こういう犯罪者?が同業者に存在することは悲しいことです。
 そういったことを少しでも減らすためのHP開設を、数年前から目指していましたが、テーマが大きく、難しくて、かつ時間も無く、未着手の状態が長く続きました。
 いつまでもそのままではマズイと思い、今回まとめました。しかし本当はもっと大きく、広く、深く、根本的な大問題として捉えたかったのですが、簡単な料理で済ましてしまったことお許し下さい。

 これについては、担当コーチ自身のレベルの問題があることは言うまでもありません。いわゆるコーチの滑りや指導法などのレベルよりも、接客業としての意識の欠如ということに、より大きな問題があります。お金を頂いているお客様の大切な気持ち、時間、お金、身体に対し、安全・喜び・楽しさ・上達のお手伝いをさせて頂いているという考えが足りないのでしょう。
 生徒さんにとっては、若い学生時代の大切なイベントであり、それに参加させて頂いている使命を認知していない結果の表れだと私は考えています。


 しかし、もっと大切なことは、校長、副校長、主任などがそういうことを何度も何度もうったえ、教育を行ってきたかどうかです。もしそれを怠っていたとすれば、彼らは死罪か、むち打ち+島流しの刑に相当するほどの重罪に値します。


 長い不景気、遊びの多様化による分散、携帯電話への大きな出費などなどもあり、スキーに限らずいろいろなジャンルで人気のかげりをみています。
 しかし、現場のスキー場関係に限定すれば、解決は理論的には簡単です。いらっしゃいませ、ありがとうございました、何かご不便はありませんでしたか、といった言葉をかけるスキー場が果たしてどれくらいあるのだろうか。ホテルや良いレストランなら当然のことでも、駐車場、リフト、食堂ではこれらは死語に近いのではないだろうか。商売なら当たり前のことだし、本来接客業として不可欠のマナーのはずです。たったこの程度のことだけでも実行されれば、お客様の満足度はかなり高まります。またそういう意識を持つことで、仕事全般に対する従業員の姿勢も高まっていくはずです。
 プロとして当たり前のことを行うだけで良いのですが、それがなかなか難しいのが現実なのです。
 ここでは、スキー人気衰退を止めるために、あるいは人気復活のために、小さな提案・苦言を呈したいと思います。しかもジャンルは絞り、私がノウハウを持つ学生団体レッスンについて、スキー学校とコーチたちへのお願いであり、警告であります。以下の「修学旅行」という言葉には、1年生のスキー旅行なども含れている可能性のあることを予めお断りしておきます。

2005/10/16 土方あきら

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◇これでは、犯罪と見られても

 何年も前に平沢文雄さんが、「レッスン終了後に、ある修学旅行の7割(または8割?)の生徒さんが、2度とスキーをしたくないと言っているスクールも存在」、と発言されています。
 2001年には私のインターネット掲示板に、『修学旅行のお嬢さんとリフト同席になりました。彼女は「あのインストラクターに習うのはいやだ」と言って涙ぐんでました。』との書き込みがありました。
 ホームページ「中村 達のアウトドアあれこれ−第60回」(2003/12)には、以下がありました。「大勢の修学旅行生に対応するため、急ごしらえのスキー教師もかなりいたと聞いている。(途中省略)その結果だろうか、スキー修学旅行に参加した子供たちが、スキーが嫌いになることが、少なくなかった。修学旅行でスキーが楽しくなったという話は、少なくとも私は聞いたことがない。」と。
 同、第63回(2003/12)には、「数年前のことだが、あるスキー場で、スキー修学旅行生の、スキー講習集団ボイコット騒動があった。100名以上の生徒が、スキー教師のあまりにもひどい技術に、線が切れてしまったそうだ。」と。
 これらは「人間が犬に噛みついた」ような特例と信じたいものですが、このようにスクールが犯人になり、スキー嫌い人口を増やしている面があることは、紛れもない事実です。
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 最近でも、以下のような悲惨なレッスンを目撃したり、仲間から聞いたりしています。
 こういったレッスンをしているコーチもひどいレベルですが、黙認しているスクール自身が論外です。私に言わせれば根本的には、校長や主任たちの意識レベルの低さによるもので、もし江戸時代ならむち打ち、江戸追放か島流しの刑に処したいものです。


*何で出来ねんだ! とどなるスキーコーチ
 もしコーチに言われたとおりに出来るなら、誰でもすぐに名手になれます。
 それが可能なら、そもそもコーチ自身がオリンピックに出て優勝することも、簡単なことではありませんか?
 「何で出来ねんだ!」という答は、コーチであるあなたの指導が悪いからです。と同時に、お客様を叱ることも論外です。
*ヒザ裏をストックの石突きで押す、コーチの迷人芸
 目撃者の話を聞いたときは、信じられませんでした。
 プルーク・ファーレンで滑る生徒さんの後傾を直すために、すぐ後ろを滑るコーチが行っていたとのこと。確かにこれなら、足首を曲げてヒザを前に出しやすいハズだし、さらなるド後傾の防止策としては素晴らしい迷アイデアです。
 でも第一に危険です。
 そして生徒であるお客様に対して失敬極まりない方法です。それをやるコーチもひどいレベルですが、黙認しているスキースクール自身も論外です。
*くわえタバコでレッスン
 当時は愛煙家であった私でも、この目撃談を聞いたときは驚きました。それも昔話ではなく、04シーズンの話なのです。それほどタバコが好きなら、スキーコーチをお辞めになったら如何ですか。
 営業マンにしても、受付係にしても、その他のどんな接客業にしても、お客様相手にくわえタバコという不遜な態度は許されるものではありません。スキーコーチ=接客業と意識は毛頭もなく、教えている相手は生徒=お客様ではなく、単なるモノなのでしょうか?
*名ばかりのトレーン(一列滑り)
 練習班全員のレベルに合わせてスピードやコースを選んでトレーンをせずに、ほとんどフリー状態で暴走させている光景。運よく怪我がなければスピードにも強くなり、勝手に上達してくれますが、それではレッスンではありません。
*生徒の全数確認をしないコーチ
 残念ながら、これはよく見かけるケースです。生徒さんのレベルは初級者辺りと仮定します。
 例えば、自班の生徒さん全員がリフトの改札口の通過を確認せずに、どんどん前に行ってしまうコーチは少なくありません。更にそのままリフトに乗ってしまうこともあるのです。
 もし、生徒さんがリフト券を落として紛失していれば、改札ゲートを通過出来ません。リフト終点で全員集合をいつまで待っていても、その生徒さんは永久?に到着しないのです。
 もし改札ゲートの全員通過の確認を省くなら、乗り場ステージ近くのじゃまにならない場所に全員をまとめるか、少なくとも全員が近くにいることを確認する必要があります。それを省けば、ゲート通過後の生徒さんの誰かが締具を外してモタモタしていれば、迷子を生む可能性があります。
*生徒の全数確認をしないコーチ (その2.)
 リフト終点で先に降りたコーチが、さっさと数10メートルも下や斜め下に降りてしまうケースがあります。
 リフト終点付近が混んでいれば、あるいはさらに同一のユニフォームのコーチや生徒さんが多数いれば、他の班に間違えてついていってしまう可能性が大です。これは不親切です。
 さらには、まだリフト下車が上手に出来ない班レベルなら、コーチはその場にとどまるべきです。場合によっては自分のスキーを脱いで、、。
 万一降り場で失敗し転び、危険な状況に陥ることもありますが、数10メートルも離れた位置にいるコーチは救助に迎えないどころか、その状況すら気がつかないのです。
*リフト改札口付近で待っていた生徒一人
 締具が外れて、靴底に厚く、硬く雪がこびり付いていたため、スキーの履き直しが出来なかった生徒さんが一人で立っていました。前記のように担当コーチが人数確認をしないため、それに気がつかず、置き去りにしてしまったのです。
 別の例では、転んだひょうしに外れた締具のヒールピースの位置が動き、スキーを履くことが出来なくなってしまったのです。「これでは一緒に滑れないので、私たちはリフト1本乗って滑って来るから、あなたはここで待っていなさい。」と置き去りに、、。
 もし担当コーチが僅かな専門知識を持ち、締具の前圧調整を直して上げるだけで、すぐにその場で簡単に解決出来ることです。その僅かな知識もなく、しかも置き去りにしたのだから、二重の意味でコーチ失格ですね。
*夕方、ゲレンデ下部で一人たたずんでいた生徒
 迷子で、しかも全員集合を確認せずに解散。
 あまりにもお粗末。絶句あるのみです。

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◇生徒さんのレッスン満足率

 私のスクールでは、今までに学校から得たアンケート5校16会期で、平均91%になっています(生徒実数約4,089名の内回答率は約9割)。これは満足度ではなく満足率なので、チョッピリ満足〜大満足までが含まれています。
 また91%の数字もアバウトなものとご理解ください。埼玉県の草加高校では、「スキー講習は楽しかった? 楽しかった77%  ふつう 21%  つまらない 3.6%」と3択質問のため、77%という低い数字になっています。
 ある年度の神奈川県・高津高校では否定評価もあり、「次の機会には別のスクールにしたいか いいえ98% はい2.4% 」という厳しい項目もありました。
 神奈川県・大船高校では、1日毎の講習の評価など幾つもの項目があり、最後に「この形式の継続について」があります。5年平均では「賛成54% 反対11% どちらでも良い35%」。何をやっても1割以上の反対はあるので悪くない数字として評価はいただいています。しかしこれに甘えてはいけません。どちらでも良い35%の数字を半減させ、その分を賛成にさせなければ永久にスキー修学旅行に留めておく保証は得られません。
 なお厳密にいえば、市内見学旅行が1日あり、ややこちらが不人気のようですが、その分も含む修学旅行の評価なのです。
 果たしてこういうアンケートを集め、まじめに分析し、改善に役立ているスキー学校は2割もあるのでしょうか。もし多くのスクールがそうしているなら、あのようにひどい、お粗末な、悪質なレッスンを多く見ることは無いはずです。

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◇満足率70%なら失格?!

 子どもの頃を思い出してみましょう。遠足の前の夜、興奮してなかなか寝付かれなかったことはありませんか。家を離れ、友だちと一緒に旅をするだけでも大きな喜びがあるものなのです。友だちと一緒に寝ることも楽しみです。
 ましてスキー旅行に来る学校は、ほとんど雪とは関係のない温暖な地域が大半です。雪国の子が夏の海を見て感動するように、スキー場の雪景色にも心打たれるはずです。
 これだけの条件で、70%程度の生徒さんは来てよかったと思ってくれるはずです。ですからもし満足率が70%を割っているなら、スキー教師がその足を引っ張っている可能性が大です。
 いや、俺たちは上達させていると胸を張る同業者の方がいることでしょう。でもそれはあなたのレッスンによってでしょうか。スキーは長い距離を滑らせれば、誰でも必ず大きく上達するものです。もしかしたら10上達出来るところを、スキー教師の頑張りによって8の上達に留め、それを知らずに俺が0から8に上達させていると錯覚していないでしょうか。

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◇満足度、満足率を高めるために

 現場のコーチよりも、校長、副校長、主任などの意識革命が必要です。けが人を出さないことと、生徒さんにより満足して頂く義務がスクールにあること認識し、必死になってください。1校だけでよいからレッスン関係のアンケートをいただき、生徒さんは何を喜び、何を不満に感じたかを調べてみましょう。
 例えば、初心者・初級者では、「転んだ時にコーチが声をかけ、最後まで見守り、あるいは助けてくれたことがすごく嬉しかった」など、意外とこんな当たり前すぎることを評価してくれているのです。
 私のスクールでは各班の1レッスン毎の終了時に、使用リフトの種類と回数のチェックをしています。それを見てすぐに対応します。もしリフトの利用回数が少なければ、多分コーチの指導法に問題があるはずです。あるいは他の問題があるのかも知れません。または利用回数が多すぎれば、ただの流しのトレーンが中心になりすぎていて、まじめにレッスンをしていない可能性があります。担当コーチから話を聞き、必要ならアドバイスや注意を与えます。そして要注意班として、巡回時によく見るようにします。
 もし初心・初級班で利用回数が少なければ、上達が遅いのは当然の結果で、「今回は出来の悪い生徒に当たってしまった」のではなく、コーチに責任があります。
 こういった当たり前のことを調べ、毎日スタッフミーティングを開き、担当コーチたちにしっかり伝える必要があります。
 修学旅行の存続意義を問われて久しくなりますが、しかし高校や中学での修学旅行は一生に一度しかない思い出の一大イベントです。その行事に関われる責任と喜び、意義を理解してください。しかもスキー旅行であれば生徒さんからの全体評価は、当たり前レベルの部屋と食事が提供されていれば、レッスンの内容がもっとも大きな要因になるものなのです。
 極論すれば足首の曲げや、腰の位置なんかはどうでもよいことです。安全の問題を抜きにすればスキー技術の指導法よりも、こういう接客業としての意識の高さがまずスキー学校(の幹部)と現場コーチに求められているのです。ここが変われば、満足率は確実に大きく向上出来ます。

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◇にわかスキー教師の問題

 最後に、にわかスキー教師の問題を取り上げます。根本的には好ましいことではありませんが、当スクールでは毎冬、大勢のにわかスキー教師にも頼っているのは事実です。これは初期から公言していることで、儲からない業種である以上、常勤の本職スキーコーチだけで対応することは不可能です。これを前提に、どうするかが大切です。
 私はモスバーガーやマクドナルドが好きで、良く出かけます。大半の人間がアルバイトで、中には1週間程度?の研修を終えたばかりの高校生が対応することもあります。それでも不満を感じたことはありません。彼ら、彼女らの個人的なスキルに頼るのではなく、アルバイトによって成り立つ研修とシステムが確立されているからです。
 にわかスキー教師の中には、他校で指導経験のあると言うのでその内容を質問すると、スキー教育旅行というVTRを見せられただけという話もあります。これは極論でも、多くは研修とミーティングが不十分のように感じます。偉そうなことを言う私のスクールにしても、目くそ鼻くその差かも知れません。でも仮に目くそ鼻くその差にしても、その差を大切にして、少しでも向上を目指していけば、90%ていどの満足率に至るのです。
 接客意識のない資格だけ持つベテラン教師よりも、研修を受けてまじめに一生懸命レッスンに取り組むにわか教師のほうが高い満足率を得ていることを、最後に伝えておきます。
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 スキー学校の幹部の皆さん、現場のコーチの皆さん、あなたはスキーの普及に寄与したいのですか、足を引っ張りたいのですか。商売としても、私たちの大好きなスキーのためにも、もう一度胸に手を当てて考えてみましょう。

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