1999/2000 FIS Rules and Precisions  (2004/ 3/13up)
(国際スキー連盟の決めたスキー関係者の行動規範など)

 ◇当HP管理人注:たぶん、
     ドイツスキー連盟編「スキーヤーの為のFISの行動規則」 岩間智子訳 田所勝太郎監修
     によるものではないかと想像します。

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Tウインタースポーツセンターの安全ガイドライン

A. 原則
 ウインタースポーツセンターにおける安全性の確保には、次の人々の協力が不可欠である:
・地方自治体
・索道施設の責任組織
・スキースクール、インストラクター、ガイド
・スキーヤー


B. センター運営組織
 これらの組織は次の点について責任を持つ:
1. ピステ及びツアーコースといった指定コース(marked runs)のレイアウト、メンテナンス、標識 設置、安全設備の設置。
2. 指定コース及び負傷者手当てのための常設レスキューサービス。
3. ピステ及びスキールートのレイアウトや難易度に関するスキーヤーへの情報提供。他にも天気 予報の情報提供、特に雪崩の可能性についての警告も出さなければならない。


C. スキーエリア: ピステ、ツアーコース、オフピステ
 ヨーロッパにおけるスキーエリアの概念は、指定コース/ピステを中心に発達してきた。
1. 指定ピステ(The marked piste)
a) ピステは難易度別に分類し、低い方から順に緑、青、赤、黒で色分けする。
b) ピステ上のスキーヤーは、国内管轄体が承認する安全基準に従わなければならない。
c) 雪崩の危険にさらされる地域にピステを設計してはいけない。
d) ピステは毎日「オープン」、「クローズ」しなければならない。
e) ピステ全体はもちろん、ピステの境界部分にも、例外的かつ尋常でない危険地点があってはならない。
f) ピステのオープンからクローズまで、常設レスキューサービスを準備しておかなければならない。
g) エリア管理者が指定(マーク)されていないピステをオープンした場合や、そのようなピステを設計した場合であっても、スキーヤーは同じ安全基準に従わなければならない。
2. ツアーコース
a) スキーヤーが思いがけない並外れた危険に遭う可能性のあるエリアに、スキールートを設定すベきではない。
b) スキールートの終了地点まで、マーキング(ルート指定)しておかなければならない。
c) 雪崩の危険性については、リゾート内はもちろん、雪崩の際にはクローズすべきスキールートのスタート地点に向かうリフトの乗車駅にも表示すべきである。
d) スキールートについては難易度別に分類しない。しかし、中級スキーヤーの能力を超えるような部分があれば、リゾート内のインフォメーションボードに表示しておかなければならない。
e) スキールートの滑走は、スキーヤー自身もしくはインストラクターの自己責任において行う。
3. オフピステスキー
 オフピステスキーの場合、天候、特に雪崩の危険性に関する情報提供はスキー場の義務であるが、それ以外の一切について、スキーヤー自身もしくはインストラクターやガイドの自己責任において行う。
4. スキー場からスキーヤーへの情報提供: インフォメーションボード、ピステマップ、パンフレット等
a) ピステはその難易度別に色分けした連続ラインで表示する。
b) スキールートは点線もしくは黄色かオレンジの連続ラインで表示する。
5. ピステの概念
 ピステの概念ではなく、明確な境界線内のスキーエリアという概念の下にスキーを組織化している国においては、スキーエリア管理者がこのエリア内で予見できる危険からスキーヤー保護しなければならない。スキーエリア管理者が予見できる危険とは、注意深いスキーヤーでも予見できない危険や、わかりにくい危険のことである。


D. 索道設備のオペレーター
1. ケーブルカー、山岳鉄道
 これらの輸送設備に関し、乗客が積極的に関与する部分はないので、オペレーターは乗客に対して次の義務を果たさなければならない: 乗車地点から到着地点まで、オペレーターの責任において乗客を安全に輸送する。
2. ドラッグリフト(牽引リフト)、チェアリフト、その他の稼動機械
 国内法、行政法に従い、オペレーターは次について保証しなければならない:
a) 十分な人数の有能なスタッフによる、機械を常に順調に動かすための整備。
b) リフトの乗降地点について、地形的な注意事項の表示も含めた適切な管理と整備。
c) リフト待ちの行列の保護と管理。
d) 上りトラックの整備。
e) トラックの危険部分の保護と、乗客が転倒(落下)した際にそれを止め、安全に滑り下りることができる手段の準備。
f) トラック全体を見渡し、危険の警告や防止のために迅速な行動が確実にとれるようにする。
g) オペレータースタッフには乗客を援助する義務がある。特に子供達に対してや、困っている様子がうかがえる場合、もしくは乗客から要望があった場合には、すすんで手伝うこと。
h) リフトに乗っているときの注意事項を示した掲示板の設置。


 乗客には、このような設備を使用して、トラックを普通に登れる十分な身体的及び技術的能力がなければならない。さらに乗客は、基本的ルールだけではなく、オペレーターからの口頭指示や注意書きにも留意すべきである。


E. スキースクール、インストラクター、ガイド
1. スキースクール、インストラクター、ガイドは、スキーを安全に滑る方法を生徒に指導しなければならない。すなわち、スキーテクニックとスキーヤーの行動規範の両方を指導することである。
2. スキースクールは、スキーレベルに合わせた生徒のクラス分けに責任を持つ。
3. スキースクール、インストラクター、ガイドは、天候や雪の状況を特に考慮に入れ、生徒が自らの能力を超えるリスクを冒すことを決して許してはならない。
4. インストラクターは生徒に対し、指導中であってもピステにおいては何ら特別の優先権はなく、常にスキーヤーの行動規範を尊重すべきであることを注意しなければならない。


F. スキーヤー
 他者の過失(不注意)を除き、全てのスキーヤーは自己の責任において滑る。スキーヤーは常にスキーヤーの行動規範を尊重しなければならない。


G. 取消
 この文書は、FISが以前に採択した全ての「ウインタースポーツセンターにおける安全指導」に取って代わるものである。

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Uスキーヤーの行動規範及びコメン卜(1990年版)

 その他全てのスポーツと同様、スキーは必然的にリスクを伴うスポーツである。


 FISルールは、責任感のある注意深いスキーヤーの理想的な行動規範として考えなければならない。これらのルールの目的は、ピステ上の事故の発生を防止することである。
 ISルールは全てのスキーヤーに適用される。スキーヤーには、これらのルールを熟知し、尊重する義務がある。
 この義務を果たさないスキーヤーは、事故発生時に民事/刑事責任を関われることもある。


規則 1: 他者の尊重
 スキーヤーは、他者を危険にさらしたり、損害を与えたりすることのないように行動しなければならない。
コメント:
 スキーヤーは自身の行動だけでなく、自分が使用する欠陥のある用品についても責任を持つ。これは新たに開発された用品を使用するスキーヤーにも適用される。
規則 2: スピードとスキーのコントロール
 スキーヤーはコントロールして滑らなければならない。斜面、雪質、天候の状況や自らの技術はもちろん、混み具合にも合わせたスピードと滑り方で、滑らなければならない。
コメント:
 衝突が起こる原因は、コントロールを失ってスピードの出し過ぎとなるか、他のスキーヤーが見えなかった場合がほとんどである。スキーヤーは自分の意思で、止まったり曲がったりで、きなければならない。また自らの視界が及ぶ範囲内で動かなければならない。
 混み合っている場所や視界の悪い場所では、スキーヤーはゆっくりと滑らなければならない。特に急斜面の端、ピステ下部、スキーリフト周辺ではスピードを落とさなければならない。
規則 3: 滑走ルートの選択
 後ろから滑ってくるスキーヤーは、前方を滑っているスキーヤーを危険にさらすことのない滑走ルートを選ばなければならない。
コメント:
 スキーは誰もが好きなところを滑ることのできる自由なスポーツであるが、それにはスキーヤーがこれらのルールを順守し、自らの技術や山の状況に合わせて滑ることが不可欠である。前方を滑るスキーヤーに優先権がある。後ろから同じ方向に向かって滑るスキーヤーは、前を滑るスキーヤーとの間に十分な距離を確保し、前方のスキーヤーが自由に動けるスペースを残しておかなければならない。
規則 4: 追い越し
 追い越される側のスキーヤーが意識的にも、無意識にも動けるスペースを残しておけるならば、スキーヤーは他のスキーヤーを上下左右から追い越すことができる。
コメント:
 追い越しをするスキーヤーには、追い越される側のスキーヤーに不都合を与えないように追い越し動作を終える全責任がある。追い越し動作が完了するまで、追い越しをするスキーヤーにこの責任がある。このルールは、静止しているスキーヤーを追い越す場合にも適用される。
規則 5: 合流と滑走再開
 指定コースに合流するスキーヤーや、停止した後に再度滑り始めるスキーヤーは、自分自身も他のスキーヤーも危険にさらすことなく合流できるように、滑走コースの上下を確認しなければならない。
コメント:
 ピステへの合流や、一度停止した後に滑り出すときが事故の原因となることは、これまでの経験から明らかである。このような状況にあるスキーヤーは、自分自身も他のスキーヤーも危険にさらさないよう、また他のスキーヤーの邪魔にならないように無事にピステに合流することが絶対的に重要である。
 スキーヤーが適切に無事に滑走を再開したときは、どんなにゆっくり滑っていたとしても、上方や後方から滑ってくる速いスキーヤーに対して規則 3(後方から滑ってくるスキーヤーは前方を滑っているスキーヤーを危険にさらすことのない滑走ルートを選ばなければならない)が適用される。
規則 6: ピステでの停止
 やむを得ない場合を除き、スキーヤーはピステ上の狭い場所や視界の悪い場所での停止を避けなければならない。そのような場所で転倒したときは、できるだけ早くそこを立ち退き、ピステを空けなければならない。
コメント:
 幅の広いピステ以外では、ピステの端で停止しなければならない。また、狭い場所や、上方から見えにくい場所で停止してはならない。
規則 7: 徒歩での登り降り
 徒歩で登り降りするスキーヤーは、ピステ端を歩かなければならない。
コメント:
 全体の流れに逆らった動きは、他のスキーヤーにとって思いがけない障害となる。また足跡はピステを傷め、それがスキーヤーにとって危険となることもある。
規則 8: シグナル(標識)やマーキングの順守
 スキーヤーはシグナルやマーキングを守らなければならない。
コメント:
 ピステの難易度は、黒、赤、青、緑で色分け表示されている。スキーヤーは自分の滑りたいピステを自由に選ぶことができる。
 この他にもピステは、方向を示す標識や、危険箇所や閉鎖箇所の警告サインでマークされている。ピステの閉鎖や危険を示すサインは厳守しなければならない。このようなサインはスキーヤーのためにあることに気付くべきである。
規則 9: 援助
 事故が起きた場合、全てのスキーヤーはそれを援助しなければならない。
コメント:
 事故が起きた場合、法的義務とは一切関係なく援助をすべきである。これは全スポーツマンにとって基本的な原則である。迅速な救急処置を施し、関係当局に警戒体制を求め、他のスキーヤーを用心させるために事故現場をマークすべきである。
 FISとして望むことは、スキーにおけるひき逃げ行為も路上でのひき逃げ事故と同様に扱われ、刑事責任を負うものとなることである。また、そのような法律がまだ施行されていない国においても、然るべき刑罰が加えられることを望む。
規則 10: 身元の確認
 全スキーヤー及び目撃者は、事故の責任の有無を問わず、氏名と連絡先を交換しなければならない。
コメント:
 事故報告の作成にあたり、目撃証言は大変重要である。従って目撃者としての情報提供は、責任ある人としての義務であると考えなければならない。
 レスキューサービスや警察の報告及び写真は、民事及び刑事責任の裁定に大いに役立つものである。

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Vクロスカントリースキーヤーの行動規範

1. 他者の尊重
 クロスカントリースキーヤーは、他者を危険にさらしたり、損害を与えたりすることのないように行動しなければならない。
2. サイン、方向、走法の尊重
 方向指示のあるコース(シュプール)では、コースを示すサインを守らなければならない。スキーヤーは定められた方向と走法に従って進む。
3. コース(シュプール)とトラックの選択
 複数のトラックが整備されているクロスカントリーコースでは、スキーヤーは右側のトラックを選択すべきである。
 グループのスキーヤーは、前を走るスキーヤーの右側のトラックを進まなければならない。自由走法の場合、スキーヤーはコース右側を進む。
4. 追い越し
 スキーヤーは他のスキーヤーを左右から追い越すことができる。前方のスキーヤーには後方から来るスキーヤーに道を譲る義務はないが、可能な場合はいつでも、より速いスキーヤーが追い越せるようにすべきである。
5. すれ違い
 反対方向に進むスキーヤーがすれ違う場合、右側通行とする。下り方向のスキーヤー優先とする。
6. ポール(=ストックのこと)
 他のスキーヤーがいる場合はいつでも、ポールをできるだけ自分の身体のそばに引き寄せるよう努力する。
7. スピードコントロール
 クロスカントリー・スキーヤーはいつでも、下り坂の場合は特に、自らの技術、斜面、視界、コースの混み具合にスピードを合わせる。前方のスキーヤーとの間に安全な距離を確保すべきである。衝突を避けるための最後の手段として、故意に転倒することも考えるべきである。
8. コース(シュプール)とトラックからの立ち退き
 停止するスキーヤーは、コースから立ち退かなければならない。転倒した場合、直ちにコースを空けること。
9. 事故
 事故の場合は、皆が手助けすべきである。
10. 身元の確認
 事故においては、目撃者や当事者であるかを問わず、全員の身元を確認しなければならない。

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1999/2000 FIS Rules and Precisions

Wスキーリフト及びチェアリフトの安全確保

 スキーヤーの代表としてFISは、次のことを要請する:
a) 運行中の機械の操作について、適切な人物が監視する。
b) 乗降場所については、不便がないように設計し、十分にメンテナンスを行う。
c) 順番待ちのスキーヤーの並べ方を考え、危険がないようにする。
d) スキーコースとスロープを適切に整備する。
e) コースの危険な部分を保護し、何らかの問題を抱えるスキーヤーでも安全に滑り下りることができるようにする。
f) 危険の予知と防止のために、いつでも迅速な行動がとれるようエリアを監視する。
g) トラブルが起きた際や、スキーヤーから要望があった場合、運行に携わるスタッフにはそれを助ける責任がある。
h) 危険を避けるために、注意が必要であることをスキーヤーに知らせる標識の利用。


さらにFISは次のことを注意する:
 スキーヤーには、メカニカルな用具を使用し、スキーコースを普通に滑るのに十分な身体的及び技術的能力がなければならない。一般的なルールの他に、スキー場所有者が独自に制定した規定もスキーヤーは尊重しなければならない。

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スキーヤーとスノーボーダーのためのFlS環境ルール

 スキーヤーとスノーボーダーは、世界中の自然を自由に楽しんでいる。自然は動物達の住み処であり、植物はその傷つきゃすい土地で育つものである。そして自然は人間の生活をも守るものである。このような手付かずの環境の中で、今後もずっとスキーやスノーボードを楽しみ続けるために、皆が責任を持って景観保全に努めなければならない。環境と共存し得るスキー、スノーボードでなければならない。よってFISは全てのスキーヤーとスノーボーダーに対し、次のルールの尊重を願いたい:


1. 訪れたいと思うスキーエリアの情報を集め、環境に配慮しているスキー場を選ぶ。
2. 実際にスキーエリアに行く際には、パスや電車といった環境汚染を最小限に抑えることのできる移動手段を用いるなどして、自分自身も環境意識を持つこと。
3. 自家用車を利用する場合、余分な空席が出ないよう相乗りするなどの努力をすること。
4. スキーエリアに到着したら、現地での移動には自家用車を使わず、スキーパスを利用すること。
5. 十分な積雪のあるときにだけスキーやスノーボードを楽しむこと。
6. 滑走コースやルートに従うこと。
7. コース上の標識等に注意を払い、閉鎖されたコースには近づかないこと。
8. 滑走禁止エリア、特に樹木の茂ったエリアは決して滑らないこと。
9. 保護エリアには立ち入らないこと。どんな動植物も大切にしなければならない。
10. ゴミは捨てずに、持ち帰ること。

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