新型コロナウイルスの感染再拡大に見舞われる欧州で、2020年12月のクリスマス休暇に合わせたスキー旅行をめぐり国々の対応が割れている。
ドイツやイタリア、フランスが域内の禁止を提案したのに対し、オーストリアは経済への打撃を理由に激しく反発。スイスもスキー場の営業を続ける。
「これは欧州の問題だ。イタリアが国内のスキー場を閉めても、近隣国が閉鎖しなければ国民は国外に出てウイルスを持ち帰るだろう」。コンテ伊首相は地元メディアにこう訴え、欧州全域でスキーリゾートの営業を再開しないよう求めた。
欧州各国は足元、飲食店の営業禁止など、厳しい規制で新型コロナウイルスを抑え込もうとしている。ようやく落ち着き始めたところで、スキー場から感染が再拡大すればこれまでの努力が水の泡になりかねない。
欧州で最多の1500万人近いスキー人口を抱えるドイツも同じ立場で、メルケル首相は国民にスキーに行かないよう要請。カステックス仏首相も「旅行は自由だが、スキー場は閉鎖される」と表明した。
フランス政府は11月26日、クリスマス休暇中のスキーリゾートの営業を認める方針を示した。ところが、「リフトの運行など関連施設はすべて閉める」(カステックス首相)と発表したため、事実上の閉鎖といっていい。
一斉閉鎖に反発しているのは、人口の3割強がスキーを楽しむオーストリアだ。同国の冬のスポーツは国内総生産(GDP)の4〜5%を占め、23万人以上が関連産業に従事しているとの試算もある。閉鎖により業界収入の3分の1が失われるとして「壊滅的だ」との声が上がる。
同国では今年初めにスキー場がコロナの感染源となったが、クルツ首相はスキー産業を「国家のアイデンティティーの一部」として閉鎖に反対。感染対策を徹底した上で営業する方針だ。
EUに加盟していないスイスは営業を認め、既に一部のスキー場はオープンしている。
多くの国がまだ最終的な判断は下していない。気が気でないのはスキー場の運営事業者だ。
「なぜ屋外で事業をする我々が制限されなければならないのか」。
伊北部ベルガモでスキー場は、現在はロックダウン(都市封鎖)で閉鎖中。クリスマスから年始にかけて営業できなければ、今シーズンの売り上げの約4割を失うという。「政府は売り上げを補償すべきだ」
ロイター通信によると、イタリアのスキー場の年間収入は110億ユーロ(約1兆3700億円)に達する。
一方で、新型コロナ感染の不安は拭えない。スキーは個人単位のスポーツで、滑走中の感染リスクは低いといわれる。問題はリフトに乗る際、密集になったり、楽しんだ後に仲間同士で飲食したりする場面だ。冬のリゾート地として人気のオーストリア西部イシュグルでは、今2020年3月に観光客のクラスター(感染者集団)が発生した。
米ジョンズ・ホプキンス大の集計によると、新型コロナの感染者数(累積)はフランス約223万人、イタリア約150万人、ドイツ約100万人、スイス約31万人、オーストリア約26万人。
欧州連合(EU)欧州委員会の報道官は「スキーを認めるかどうかの決定権は国家にある」と述べ、各国の対応に委ねる考えを示した。
◇詳細記事
- 欧州のスキー旅行、割れる対応 コロナ禍で域内禁止模索―「経済壊滅」と反発の国も2020年11月27日(時事ドットコムニュース)
- スキー場閉鎖?欧州混乱 新型コロナ感染拡大を懸念/経済打撃、反対する国も2020年11月30日(朝日新聞デジタル)
- スキー場閉鎖、割れる欧州 独伊とオーストリア対立2020/11/28(0日本経済新聞)
日経新聞 2020/11/28 夕刊
例年どおりに、FISワールドカップのアルペンスキー、ノルディク複合や、ジャンプ・レースも開催されている。
例えば閉鎖を唱えるイタリアでは、アルペンスキー・ワールドカップのGSが、05/12/2020と07/12/20で2試合開催されている。
ということから、今現在はどこも国全体としては、スキー場閉鎖の決断には至っていない、と思った。しかし、そうでは無かったようなので、次で詳しく忍べる。
次に続きます。