事の起こりは、平成29年12月05日に、日本職業スキー教師協会（現・公益社団法人 日本プロスキー教師協会）の元会長である杉山 進さんから頂いた一通のメールからでした。
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（私のＨＰ内にある杉山 進(さん黙認)の「スキー教師の教本」、無断リライトに対するお礼があり、） 「日本のスキーの歴史、近代スキーの夜明け----のところを拝見して気づいたのですが、訂正していただいたほうが良いと思い筆をとりました。 それは1911年、五色温泉スキー場について、横浜の商社員エゴン・フォン・クラッツアーがオーストラリア人となっていますが、オーストリア人が正解です。 彼はチロルの生まれで、私がオーストリアにいたころ老人ホームにおられたと、後なって分かったのですが、残念ながらお逢いする機会はありませんでした。 彼が日本に滞在中使用した一本杖（竹）が麻生武治さんから私のところに来ております。白いペンキで、E.V,Kratzer DEC 1909と書かれております。 機会があってこちらにお越しの際は、ご覧ください。」
杉山 進
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1911年（明治44年）、その当時のスキーということですから、考えるまでもなくオーストラリア人であるはずがありません。HP管理人である私の不注意でした。
早速調べると、引用元の五色温泉（山形県）の原本（2023/08/03リンク切れ）そのものが間違っていました。
更にいろいろ調べると、エゴン・フォン・クラッツアー（Egon Edler von Kretzer）は、ヅダルスキーの高弟。あの有名な、日本のスキーの父ともいうべきレルヒ少佐と同門です。
1911年4月には、一緒に富士山スキー登山の試みもしています。
『もしかしたら、日本で最初に作られたスキーの可能性も? 43年（1910）のはじめ』
しかも、エゴン・フォン・クラッツアー（クラッセルとも読む、Egon Edler von Kretzer）は、
「ドイツ商社シーメンスの日本駐在員として明治42年、26歳で来日した。
43年（1910）のはじめ早速横浜でスキーを作らせ、ドイツ語、英語のパンフレットを刷り、外国人相手に販売を始めている。」（「クラッセル」（登って滑る）より-リンク切れ）
あのレルヒは、1910年11月に交換将校として来日。1911年1月1日に、新潟県・高田(現上越市)の歩兵58連隊に着任。）東京の砲兵工廠で作らせたスキー10台を持って上越市高田に来た。すなわち、1910年11〜12月にスキーを製作。
クラッツアーは「明治43年（1910）のはじめに」とあるが、レルヒよりも10ヶ月ほど早くにスキー製作と云うことになる。否定はできないが、半信半疑。
残念ながら、クラッセルの原典は不明です。
また次のような資料もあります。
1940年1月「TOURIST」に寄稿されたEgon Edler von Kretzerさんの手記「Skiing in Japan 30 Years Ago」です。
1910年「スキーの製作と販売」
勤務地横浜で母国から持参したスキーを見本に、家具職人にスキー板を、締め具は鍛冶屋に製作を依頼している。・・・。
「私の使っているビンディグはアルパイン・リリェンフェルトで、これは、私のスキーの先生、アルパインリリェンフェルトスキーの創始者で世界的有名なマチアス・ズダルスキーが発明したもの」と・・・。
「スキーの注文が増えたが、製造経験が不足で完全とはいえなかった」
販売は「ジャパンポスト」「ジャーマンウィークリー」当時の英字新聞等に広告を掲載、広く通信販売を計ったとも述べもている。
（クラッツアーさんの手記を訳してみました（趣味人倶楽部(しゅみーとくらぶ)）より）
さらに次のような資料もあります。こちらは月日まで出ていて、その面では正確です。
「東北にスキーが伝わった最初は明治44年（1911）3月15日に五色温泉の宗川旅館にオーストリア人クラッツアーと英国商館フレモンズ商会男女3名が投宿
当時の館主宗川栄吉や大工とスキーを考案製作し、即時練習開始とあり、これが最初のようです。」
（スキー四方山話（岳温泉 陽日の郷あづま館）より）
もしかしたら、日本で最初に作られたスキーの可能性も? ２つの資料から「明治43年（1910）」であることは間違いないでしょう。しかし「その年のはじめに」説は、原典が不明なので、まだ断定には至りません。少なくとも、日本での初期グループの一人ではあることは確かです。
参照リンク 詳しくは
- 国内初のスキー製作 2016/04/21、2017/12/11改訂 （当サイト内）
国内で初めてのスキーは、いつ、どこで、作られたか
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