スクールが問われる事故責任   (2004/ 3/13)


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 スキー、スノーボードの事故が発生した場合、スクールの責任の有無について関連事項を紹介します。
 しかし、根本的にはレッスン中での事故そのものの発生を防ぐべきで、それについてはいつか別のページを起こしたいと考えていますが、実現出来るかどうかは不明です(HP管理人)。





公認スキー学校長 各位
「SIA総合補償制度」関連事項について(連絡)

 一部はHP管理人が、省略や名前の伏せなどしてあります。

2004年 3月11日 NO.4346号
    社団法人目本職業スキー教師師協会 専務理事 黒川正博


(一部省略)
 今シーズンあるスクールでレッスン中に接触や転倒による事故が8件起きており、大きな問題には至っておりませんが、頭を痛めております。
 2月下旬に公認校でレッスン終了後、開校式までのフリーの時間に受講生同士が衝突し、大きな傷害事故が起きました。また、3年前にスクール受講中の生徒さんが、他のスノボーダーに衝突するという傷害事故がありましたが、そのスノーボーダーが、傷害が完治したこの時点になって、加害者・加害者の両親・市(教育委員会〉・スキースクールに対して、謝停の申し立てを起こされました。
 事故に対しては、備えても備えても充分と言い切れない面がありますが、今一度、「安全指導ガイドプック」「過去の事例」等を事考にして、安全対策を強化していただきたく存じます。
 ただし、レッスン中に事故が起きた場合でも、必ずしもスクールに過失があるとは限らないということも再認識して戴きたいと思います。
 最近の事故例から感じたことは以下の点ですのでご確認下さい。
@レッスン開始と終了は、ハッキリ言葉に出して伝える。
 「これからレッスンを開始します。」「これでレッスンを終了します。」
A集合・解散場所はスキー場における安全な場所を選ぶ。
B集合・解散はAまたは安全な場所で行う。
 尚、SIA総合補償制度の担当会社である、****損害保険株式会社より、別紙の通りアドバイスの文書が出ておりますので添付致します。ご参考にしていただきますようお願申し上げます。

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P.2


公認スクールの皆横方へ

       一部はHP管理人が、省略や名前の伏せなどしてあります。


****損害保険株式会社 ** **


拝啓 公認スクールの皆様方には、平環ご厚誼を賜り誠に有難うございます。
 今シーズンも残すところ1ヵ月あまり、皆様ご多忙の毎巳をお過ごしむことと事じます。
さて、毎年2月から3月にかけてが、賠償責責任事故が多発する時期となっております。
 先般も、あるスクールにおいてスノーボードの受講生同志が衝突し、一方の受講生が、下半身不随になる可能性のある重大事故の報告がありました。
 当該スクールの校長先生は、大変責任感のある方で、この事故に関しで、スクールの管理下中の事故であり、自分のスクールの責任は、明らかである旨のご主強を、自らなさっておりました。しかしながら、事故内容を詳しく検討した、保険金社および弁護士(坂東先生)の見解は、スキースクールには過失が無いというものでした。
 こういった事故の場合、スキー教師としての高い意識、良心を持っておられる校長生生であればあるほど、まずスクールに非があるのではないかとご自分を責める傾向があるように思います。
 民事の場合、安易に過失を留めれば、事実とは関係なく賠償義務を負うこともあり得ます。
 SIAでは、万が一に公認校に不法行為が認められ賠償義務がおこった場合のための賠償責在保険に加入されておりますが、あくまでも法律上妥当な損害賠償責任によってスクールが支払った賠償金を補填するものであり、それ以上のものでは、ありません。
 急速に、欧米型の訴訟社会となりつつある現状の中で、相手の言うままに安易に賠償責任を認め、あるいは、自ら積極的に過失を認めで、かぶる必要のない賠償義務を負うようなことは、何としても避げねばなりません。
 怪我をなされた方への迅速かっ親切、丁寧な対応と、過失(=不法行為=賠償責任)を安易に諦めることは、まったく別ものであることを、改めて再認識する必要があるように思います。
 ちなみに、私どもが保険を承ったこの6年間で、賠償事故報告を85件程頂いております。その内73件(約86%)は、私どもと各スクールの校長先生方とご協力の上、相手からの賠償請求を阻止しております。また、保険金を支払って示談完了した案件が10件(12%)、訴訟および調停申立となっているのは、今年1件増えましたがそれでもわずかに2件(約2%)となっております。(この2件にしても、原告側はあくまでもぶつかった当事者を第一に訴えており、スクールのみを訴えたものは皆無です)
 また、万が一の場合は、公認スクールの皆様方をフルサポートさせて頂きますので、いつでもお気軽に、私どもにご連絡、ご相談を頂ければ幸いです。何とぞ宜しくお願い致します。 敬具

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スキーコーチやスクールの過失

注:以下のスキー、またはスキースクールは、スノーボードも含みます。

◇スクールに不法行為
 ○一般的に、スキースクールに損害賠償責任が発生するためには、
  スキースクールに不法行為があったことが、立証されなければ、なりません。
 ○以下のようなケースでは、不法行為を問われることもあり得ます。
  スクールの設定したコースが、明らかに当該受講生の技量では滑走不可能なものであり、
   事故が起こることは、当然に予見された。
  また、同時に滑走させた人数が、明らかに過密であり、当然受講生同士がぶつかる事が、予見された。
 ○道義的な責任は別として、レッスン中に事故が起きた場合でも、必ずしもスクールに過失があるとは限らないということです。


◇民事の場合
 ○民事の場合は、当事者同士の解決が基本ですので、
  訴訟に至らずとも、仮にスクールが、怪我をした生徒さんに、「今回の事故はスクールの責任である」とし、
  また、生徒さんも、「全くその通りである」とすれば、本来の事実関係に係わらず、スクールが一切の責任を
  負うこともあり得るのです。
 ○この場合は、このことを認めたスクールは、生徒さんに対し、その損害を支払うことになってしまいます。
  (事実と関係なく非を認めたスクールに対し)保険で補える範疇は当然超えてしまいますので、この点については、注意が必要かと思われます。
  (たとえば、スクールが、生徒さんに対しどうしても償いがしたいといった場合は、法律とか、事実関係には、かかわらず、
  損害を賠償することは、当人同士の合意のもと、一向にかまわないというのが、民事です。)


◇生徒さん、または他の滑り手自身の責任
1999/2000 FIS Rules and Precisions
Uスキーヤーの行動規範及びコメン卜(1990年版)
 その他全てのスポーツと同様、スキーは必然的にリスクを伴うスポーツである。
 FISルールは全てのスキーヤーに適用される。スキーヤーには、これらのルールを熟知し、尊重する義務がある。
 この義務を果たさないスキーヤーは、事故発生時に民事/刑事責任を関われることもある。
規則 1: 他者の尊重
 スキーヤーは、他者を危険にさらしたり、損害を与えたりすることのないように行動しなければならない。
規則 2: スピードとスキーのコントロール
 スキーヤーはコントロールして滑らなければならない。斜面、雪質、天候の状況や自らの技術はもちろん、混み具合にも合わせたスピードと滑り方で、滑らなければならない。
 上記の「FISの定めるスキーヤーの行動規範」にもあるように、スキーヤー、またはスノーボーダー自身の過失があれば、当然の責任も問われる訳です。
一般論として、スキーコーチやスクールの過失.1
◇ 例えば生徒を連れて、
*ゲレンデの中ほどに長時間立ち止まっている。(先の見えにくいカーブするコースの先、緩斜面から急斜面に入った場所などは、上から来るスキーヤーから衝突される危険性が高い)
*スキーヤーの流れの激しい場所で、斜滑降や横滑りの練習をしていたり、斜面を横切ったりすること。
*上方を確認しないまま合流地点やコースに飛び出したりすることは、普通の滑走をしているスキーヤーの予測に反する行為として問題にされることがある。


 こういう条件の中で、他のスキーヤーから生徒が衝突されれば、コーチやスクールの過失責任は高まります。

一般論として、スキーコーチやスクールの過失.2
 もし怪我をした生徒さんが以下のような場合なら、スクール(・コーチ)の責任は強く問われるように思います。
*大人ではなく子どもである。 → 自己判断力の低さや、スキー、スノーボードの常識を知らないため。
*上級者ではなく初級者である。 → スキー、スノーボードの持つ高い危険性を認知していない可能性による。
*準備体操、転び方の練習、危険性の告知などを怠った。 → スクールの過失。
*視界の悪さ、雪質の悪さ、混雑しているゲレンデ、1班の人数が多数などの危険性が高まる悪条件が1つ、または複数追加された場合。 → スクールの過失。
*技術レベル以上の難しい斜面、雪質、スピードでの練習(とくに中級以下に対し) → スクールの過失。


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スキー指導者の責任

スキーと安全
編者:財団法人全日本スキー連盟
発行:スキージャーナル株式会社
1991年11月10日 第1刷発行 定価2000円(本体1942円)
上記の素晴らしい本「スキーと安全」より、以下は引用しています。
1.スキー指導者の任務
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 スキー指導者は、生徒に対して正しいスキー技術を教えることを本務とするものではあるが、安全教育については、指導の場を通じて、まずスキーが危険を伴うスポーツであることを正しく認識させたうえで、これまで述べてきた「スキーヤーの道守すべき注意義務」など、スキーヤーとして身につけなければならない安全に関する基本を具体的な場に則して教育、一人ひとりの生徒をして安全に関して自覚をもち、どんな状況のもとでも自主的に対応できるスキーヤーに育てていかなければならない。
 そして、指導者はまた、自らその実践者であることを身をもって示していかなければならない(註12)。『オーストリアスキー教程(シュピンケン)」も、この原則を強調している(註13)。
 スキー学校、スキークラブ等は、講習にあたってぜひとも「安全」の問題を独立のカリキュラムとして取り入れていくことを提言したい。


2.講習中の事故と指導者の責任
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 スキーの指導にあたって指導者は、まず生徒に対して絶対にケガをさせないよう特段の配慮が必要である。そのために指導者は、生徒の技術程度を把握し、心身の状態、疲労度などに気を配り、臨機応変の指導を行わなければならない(註14)、(註15)。
 安全教育に関しては、講習に入る前に事故を避けるための注意を与えることはもちろん、特にスキーヤーの流れを妨げる斜滑降や横滑り、トレーンの練習にあたっては、他のスキーヤーの動向に注目し、これとの衝突を避けるよう注意を喚起しておく必要がある。
 また、生徒をいつも指導者のあとばかりついて滑らせるのでなく、時にはさまざまな斜面を生徒の自主的な判断にもとづいて、安全に滑り降りる訓練もさせておかなければならない(註16)。
 高校のスキー行事での生徒の傷害事故に関する判決が二つある。
 一つは、スキー授業のうちの自由滑走中に生徒が他のスキーヤーに衝突して負傷させた事故(註17)。
 もう一つは、高校のスキー大会で、男子滑降競技のゴール直前で、バランスを失った生徒が計時係をしていた生徒に衝突して負傷させた事故(註18)に関するもの。
 高校の担当教師の指導監督責任が問題とされたが、裁判所は両事件とも行事を行なうにあたっての一般的注意、実施にあたっての具体的注意が充分になされており、教師に指導・監督上の過失はないと判断した。
 この二つの判決は学校のスキー授業だけでなく、スキー学校、スキークラブなどの講習会での安全教育の実施にあたっての指針となるものである。

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3.ボランティア活動とリーダーの責任
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 スキー指導者の中には、ボランティアとしてスキーの指導に日夜奮斗している者が数多くいる。こうしたボランテイアのリーダーが生徒にケガをさせた時、どのような責任を負わなければならないのか。リーダーを相手とする裁判が二、三出されているだけに、指導者にとって極めて切実な問題である。
 しかし、法的には指導がボランテイアによってなされていたとの理由だけで指導者の責任が軽減されることはなく、過失があったかどうか、具体的状況にてらして判断されることになる。

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(註12) 国設谷川岳スキー場におけるスキーヤーの再度にわたるクレパス転落負傷事件
(二審東京高裁・損害賠賞請求事件、昭60.131判決、最高裁・平2.11.8一小法廷判決。一部破棄自判、請求棄却)
 スキー指導員の資格をもち、スキー連盟の役員の経歴を有するベテランスキーヤーが、シーズンオフに近い時期に2年連続してクレパスに転落して負傷した事故で、二審の東京高裁は、事業者に危険箇所の表示に手ぬかりがあったとしてその責任を認め、さらにスキーヤーの過失も犬きいとして第l事故で90%、第2事故で70%の過失相殺をした。
 最高裁は東京高裁の判決を取り消し、事故はスキーヤーの過失で起こったものとしてその請求をすべて退けた。

(註13) オーストリアスキー教程(シュピンケン) 実業之日本社 昭57、P30外。

(註14) 千葉県長生高校柔道部新入部員死亡事件
(千葉地裁・損害賠償請求事件、昭49.9.9判決)は、初心者の指導にあたっての注意義務に関するものである

(註15) 津市中河原海岸中学生集団溺死事件
(津地裁・損害賠償請求事件、昭41.415判決)は、練習の場所を設定するにあたっての注意義務に関する義務である。

(註16) (註5)の判決を参照。
(註17) (註5)と同じ事例。
(註5) テイネハイランドスキー場スキーヤー同士衝突負傷事件
(札幌地裁・損害賠償請求事件、昭58.11.1判決一部認容)
 高校のスキー授業の自由滑走時に生徒が、他のスキーヤーに衝突し負傷させた事件で、衝突されたスキーヤーが高校生と学校の設置者である北海道知事を相手に民法第709条の不法行為ならびに国家賠償法第l条にもとづく損害賠償を請求したもの。
 判決は上方から滑走したスキーヤーの過失だけを認め、北海道に対する請求は棄却した。
(判決)
(1) (前方注視義務)
 前方注視義務はあらゆる場合に求められるべき基本的な注意義務と解されるべきであり、通常、滑走者には、前方の滑走者あるいは停止者の動静(前方の見通しが悪い場合には、それらの者の存在)に注意し、それらの者と接触あるいは衝突することのないような速度、方向を選択して滑走することが要求される。
(2) (下方にいるスキーヤーの注意義務)
 もっとも、前方の滑走者あるいは停止者にもそれぞれその場に応じた注意義務が課せられているので、後行の滑走者がそれらの者が右注意義務を尽くすことを期待して滑走することは容認されると解すべきであり、したがって、前方の滑走者あるいは停止者が右注意義務に違反し後行者の合理的な予期に反する行動に出ることによって接触あるいは衝突事故が発生した場合は、後行者にその責任を問いえないことも考えられる。

(註18) 深川西高校滑降大会ゴール計時係生徒衝突負傷事件
(札幌地裁・国家脳賞法第1条による損害賠賞請求事件、昭59.10.24判決、確定)
 この事件も、教師の所属する高校を設置した北海道を被告とするものであったが教師の指導・監督に過失はなかったとして請求は棄却された。


 本項は、「スキーと安全」(財団法人全日本スキー連盟編 スキージャーナル発行)より、「スキー指導者の責任」を参照・引用させて頂いています。業界関係者には必読の本です。

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E. スキースクール、インストラクター、ガイド

        (国際スキー連盟の決めたスキー関係者の行動規範など) 1. スキースクール、インストラクター、ガイドは、スキーを安全に滑る方法を生徒に指導しなければならない。すなわち、スキーテクニックとスキーヤーの行動規範の両方を指導することである。
2. スキースクールは、スキーレベルに合わせた生徒のクラス分けに責任を持つ。
3. スキースクール、インストラクター、ガイドは、天候や雪の状況を特に考慮に入れ、生徒が自らの能力を超えるリスクを冒すことを決して許してはならない。
4. インストラクターは生徒に対し、指導中であってもピステにおいては何ら特別の優先権はなく、常にスキーヤーの行動規範を尊重すべきであることを注意しなければならない。


F. スキーヤー
 他者の過失(不注意)を除き、全てのスキーヤーは自己の責任において滑る。スキーヤーは常にスキーヤーの行動規範を尊重しなければならない。

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FIS Uスキーヤーの行動規範及びコメン卜(1990年版)

 その他全てのスポーツと同様、スキーは必然的にリスクを伴うスポーツである。


 FISルールは、責任感のある注意深いスキーヤーの理想的な行動規範として考えなければならない。これらのルールの目的は、ピステ上の事故の発生を防止することである。
FISルールは全てのスキーヤーに適用される。スキーヤーには、これらのルールを熟知し、尊重する義務がある。
 この義務を果たさないスキーヤーは、事故発生時に民事/刑事責任を関われることもある。


規則 1: 他者の尊重
 スキーヤーは、他者を危険にさらしたり、損害を与えたりすることのないように行動しなければならない。
コメント:
 スキーヤーは自身の行動だけでなく、自分が使用する欠陥のある用品についても責任を持つ。これは新たに開発された用品を使用するスキーヤーにも適用される。
規則 2: スピードとスキーのコントロール
 スキーヤーはコントロールして滑らなければならない。斜面、雪質、天候の状況や自らの技術はもちろん、混み具合にも合わせたスピードと滑り方で、滑らなければならない。
コメント:
 衝突が起こる原因は、コントロールを失ってスピードの出し過ぎとなるか、他のスキーヤーが見えなかった場合がほとんどである。スキーヤーは自分の意思で、止まったり曲がったりで、きなければならない。また自らの視界が及ぶ範囲内で動かなければならない。
 混み合っている場所や視界の悪い場所では、スキーヤーはゆっくりと滑らなければならない。特に急斜面の端、ピステ下部、スキーリフト周辺ではスピードを落とさなければならない。
規則 3: 滑走ルートの選択
 後ろから滑ってくるスキーヤーは、前方を滑っているスキーヤーを危険にさらすことのない滑走ルートを選ばなければならない。
コメント:
 スキーは誰もが好きなところを滑ることのできる自由なスポーツであるが、それにはスキーヤーがこれらのルールを順守し、自らの技術や山の状況に合わせて滑ることが不可欠である。前方を滑るスキーヤーに優先権がある。後ろから同じ方向に向かって滑るスキーヤーは、前を滑るスキーヤーとの間に十分な距離を確保し、前方のスキーヤーが自由に動けるスペースを残しておかなければならない。
規則 4: 追い越し
 追い越される側のスキーヤーが意識的にも、無意識にも動けるスペースを残しておけるならば、スキーヤーは他のスキーヤーを上下左右から追い越すことができる。
コメント:
 追い越しをするスキーヤーには、追い越される側のスキーヤーに不都合を与えないように追い越し動作を終える全責任がある。追い越し動作が完了するまで、追い越しをするスキーヤーにこの責任がある。このルールは、静止しているスキーヤーを追い越す場合にも適用される。
規則 5: 合流と滑走再開
 指定コースに合流するスキーヤーや、停止した後に再度滑り始めるスキーヤーは、自分自身も他のスキーヤーも危険にさらすことなく合流できるように、滑走コースの上下を確認しなければならない。
コメント:
 ピステへの合流や、一度停止した後に滑り出すときが事故の原因となることは、これまでの経験から明らかである。このような状況にあるスキーヤーは、自分自身も他のスキーヤーも危険にさらさないよう、また他のスキーヤーの邪魔にならないように無事にピステに合流することが絶対的に重要である。
 スキーヤーが適切に無事に滑走を再開したときは、どんなにゆっくり滑っていたとしても、上方や後方から滑ってくる速いスキーヤーに対して規則 3(後方から滑ってくるスキーヤーは前方を滑っているスキーヤーを危険にさらすことのない滑走ルートを選ばなければならない)が適用される。
規則 6: ピステでの停止
 やむを得ない場合を除き、スキーヤーはピステ上の狭い場所や視界の悪い場所での停止を避けなければならない。そのような場所で転倒したときは、できるだけ早くそこを立ち退き、ピステを空けなければならない。
コメント:
 幅の広いピステ以外では、ピステの端で停止しなければならない。また、狭い場所や、上方から見えにくい場所で停止してはならない。
規則 7: 徒歩での登り降り
 徒歩で登り降りするスキーヤーは、ピステ端を歩かなければならない。
コメント:
 全体の流れに逆らった動きは、他のスキーヤーにとって思いがけない障害となる。また足跡はピステを傷め、それがスキーヤーにとって危険となることもある。
規則 8: シグナル(標識)やマーキングの順守
 スキーヤーはシグナルやマーキングを守らなければならない。
コメント:
 ピステの難易度は、黒、赤、青、緑で色分け表示されている。スキーヤーは自分の滑りたいピステを自由に選ぶことができる。
 この他にもピステは、方向を示す標識や、危険箇所や閉鎖箇所の警告サインでマークされている。ピステの閉鎖や危険を示すサインは厳守しなければならない。このようなサインはスキーヤーのためにあることに気付くべきである。
規則 9: 援助
 事故が起きた場合、全てのスキーヤーはそれを援助しなければならない。
コメント:
 事故が起きた場合、法的義務とは一切関係なく援助をすべきである。これは全スポーツマンにとって基本的な原則である。迅速な救急処置を施し、関係当局に警戒体制を求め、他のスキーヤーを用心させるために事故現場をマークすべきである。
 FISとして望むことは、スキーにおけるひき逃げ行為も路上でのひき逃げ事故と同様に扱われ、刑事責任を負うものとなることである。また、そのような法律がまだ施行されていない国においても、然るべき刑罰が加えられることを望む。
規則 10: 身元の確認
 全スキーヤー及び目撃者は、事故の責任の有無を問わず、氏名と連絡先を交換しなければならない。
コメント:
 事故報告の作成にあたり、目撃証言は大変重要である。従って目撃者としての情報提供は、責任ある人としての義務であると考えなければならない。
 レスキューサービスや警察の報告及び写真は、民事及び刑事責任の裁定に大いに役立つものである。

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