おもろい話・いい話・いい加減な話−スキー場編.1

スキー場の話、いろいろ▼

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▼そのほか▼

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スキー場がヤバイ? (2001/ 3/31)

土方あきらの全身イラスト
スキーのばいぶる
(スキージャーナル)
 ちなみに我が猪苗代では、本2001年4月より昭和観光開発(株)がホテル部門(ホテルニュー磐梯=旧・磐梯ロッジ)からの撤退が決まっています。同社は、第1〜6リフトを運営する索道事業会社になります。
   (但し、別の会社の委託経営により、ホテルの継続は2月末に決定。)
 裏磐梯にある猫魔スキー場も、あの豪華なホテル事業から撤退の噂も入っています。
 スキー場ビジネスは、なかなか厳しい冬の時代を迎えています。
 【需要の低迷で現在、スキー界は厳しい局面に立たされている。自由時間デザイン協会(旧 余暇開発センター)によると、
昨年度のスキー人口(スノーボードも含む)は1,210万人と、93年度のピーク時と比べ32%も減っている。不況の長期化やレジャーの多様化などが原因とみられている
透明スペーサー
 第三セクターによる赤字のスキー場群の、リストと内容の資料を入手しています。これも、この後ろに発表してあります。

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公営スキー場、設備更新「困難」7割、老朽化で事故懸念 (2011/ 1/16)

 調査は123県と市町村を対象。161スキー場から計118件の回答。運営面の課題は「利用者のスキー離れ」が89.8%と最も多く、次いで「将来の設備投資が困難」が72.9%だった。
 157スキー場のうち、半数近い73カ所が開業後30年以上。スキー場は10〜20年でリフトのワイヤや電気設備の交換が必要とされ、30年以上でより大規模な修繕を求められる。
 北海道比布町(町営・ぴっぷスキー場)は、2000万円かかるワイヤ交換ができず、2008年にリフト1基を廃止した。同町は黒字経営だが、老朽化した残り6基は更新のめどが立っていない。
 「5億円以上する人工降雪機の更新期が迫るものの、今の財政事情では無理」(徳島県三好市、町営・井川スキー場腕山)という例もある。
 民間業者も同様の問題を抱えている(エボン(東京・渋谷)の坂倉海彦社長)
(日経新聞2010.12.05より)
 この新聞記事よりも更に詳細な12ページの大特集「決断迫られる公営スキー場 設備更新投資、7割が困難」が、日経グローカル(2010/12/06 No.161)に組まれています。
 「公営スキー場の概要」という一覧表を、最後の3ページで組んでいます。1スキー場を1行で紹介、各種の数字が載っています。研究者などには得難い、貴重な資料です。
 編集者のご苦労を称えます。
透明スペーサー

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でも、スキー場がつぶれないワケ? (2005/ 8/28更新)

 日本観光研究学会の総会後に行われたシンポジュームには、坂倉海産・エボン社長も出席。スノービジネスのコンサルタントである同氏は、低迷しつつも施設が減らないスキー場経営の実態を明らかにした。
 同氏によると、1994年まで順調に増え続けたスキー人口は、この時期にピークを迎え、年々3、4%ずつ微減を続けながら、現在需要はピーク時の40%以下まで減少しているにもかかわらず、「スキー場が減っていない」と指摘。
 理由は、「冬だけ営業してオフには休業。従業員は全部解雇し、次の冬には又開業する無責任な業者もある」とした。また、自治体が地域振興という名目で補助を行い「健全な淘汰が進まない」ことも理由に挙げた。
 ただ、一番の理由を「スキー場は止められない仕組みになっている」と話した。それは環境保全上、廃業する際、自然の状態に戻す事が義務つけられており、「負債を抱え採算が合わず廃業するのに、自然の状態に戻す費用など出るはずも無い」と話した。
 「市場が求めない施設は、自然淘汰でなく意図的に淘汰させなければ、スノービジネス全体が衰退する」と訴えた。
   (週間経済新聞 平成14年 5月31日)

◇『アメリカでは保険料が高くなり、リフト代の半額を占めるほどになり、この10年ほどの間にスキー場の半数が倒産や廃業している』
 これは1999年頃に、福井大学助教授の水沢 利栄さんからお聞きした話。
透明スペーサー

 '04シーズン 1,230万人 760万人 470万人 「レジャー白書」(社会経済生産性本部)。前年比でSKI 28%の減少。
 わが国のスキー人口は、ピークの92〜93年シーズンには1,770万人もいましたが、04年は470万人にまで減少。おかげで、かつて700を数えた日本全国のスキー場も、05年シーズンは559に。
 しかも、ゲレンデは年間集客数が10万人を割ると維持できないと言われますが、全ゲレンデの8割までが10万人以下。
 ピークには年間143万人を集めた野沢も04年は38万人。同じく144万人を集めた八方尾根も45万人にまで減少しています。
(FRaU東京コンシェルジュ #102「スキー最新事情」(ホイチョ・プロダクションズ)より)
透明スペーサー

透明スペーサー
◇天国から地獄へのスキービジネス (2005/ 8/28この項目と表を追加)
 以下のスキー関係の数字を見れば、大半が30%、50%、80%減と激減しているのと比べ、スキー場数は13%減とひじょうに少ないのです。これから見ても、残念ながらまだ淘汰が進と考えられます。
透明スペーサー
天国の時代地獄の時代備考
スキー人口 '93シーズン 1,860万人(レジャー白書) '05シーズン 750万人(レジャー白書) 60%減
国内のスキー用品市場 1991シーズンには4,500億円 1997/98現在ではその3分の2ていど、と言われています。 33%ほど減
スキー用品専門店 1990年には約800社あった。 倒産や廃業で1998年現在は130社に減った。 1997年秋、72店舗のオリンピックスポーツが、負債総額348億円で倒産。 84%減
アルペンスキーの生産台数
世界のSki 1993年 610万台。
日本の市場:1991年280万(国産+輸入)
世界のSki 2002年 420万台。
日本の市場:2003年 40万弱輸入+小賀坂分
世界のSki 61%減
日本の市場:85%ほど減
国産スキーメーカー数 1960年代頃 約30社 2000年以降 約 5社 83%減
JR東日本・シュプール号 1985年度から運行を始めた。設定ピークは1993年度で1,098本(予定本数)、29万人を輸送。 2000年度のアルペン号はわずか122本(同)、2万人。そして2002年度、「シュプール号/アルペン号」と冠がつく東京発着の列車はゼロになった。 100%減
日本スキー場総数 '99シーズン スキー場総数703ヶ所
(新設スキー場 9ヶ所)
2004年3月現在、612ヶ所(新設スキー場 1ヶ所?)05年シーズンは559に。
長野県内では2003年度スキー場数は百余りで、ピーク時からほとんど減らない。
13%減
他の激減と比べまだ淘汰が不十分。
チェアーリフト建設基数の推移 1984〜90年 170〜226基 1996年 100基以下 6割%減かそれ以上
リフト(普通索道)乗車回数 '92シーズン 7億5千万人で、ピーク。
収入は93、95年の約1,500億円
'00シーズン 5億2,278万人
収入は04年に890億円(または810億円)
30%減
41%減
 この表の詳細版「天国と地獄 スノービジネスMaxとMin 2006/ 8/06」は、別に用意してあります。

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ザウスの閉鎖が決定 (2002/ 4/ 5 + 9/28 Up)

 3/2の日経新聞に、以下の悲しい記事が載っていました。
 三井不動産は2002年3月期に土地の含み損約3,550億円を一括処理、と発表した。
 ザウスは1993年に開業。入場者数は95年に約101万人のピークを付けた後、最近は80万人程度まで減っていた。毎年20億円前後の営業赤字が続いていたため閉鎖する。
  (日経新聞 2002/ 3/ 2より)
透明スペーサー
 三井不屋内スキー場「ザウス」、客足遠のき9月閉鎖、売却、解体費が足かせ。
  (日経新聞 地方経済面 2002/ 4/ 4より)。

千葉のザウス解体  跡地、家具店などに (2003/12/11Up)

市街地ゲレンデ降雪前に消える
 三井不動産が手掛けた千葉県船橋市の屋内人工スキー場「ららぽーとスキードームSSAWS(ザウス)」の解体作業が本格化している。
 3台の大型クレーンで東京タワーの約4.5倍となる約1万8千トンの鉄骨を解体中で、市街地のゲレンデは家具店やマンションに生まれ変わる。
 ザウスは約400億円の事業費を投じて1993年に開業。当初は年100万人が訪れる人気スポットとたが、入場者は次第に減少。昨年九月の閉鎖前には年70万人程度に落ち込んでいた。
 解体費用は約40億円。跡地のうち42,500平方Mは、欧州最大家具チェーン、イケアグルーがが取得。2005年9月に売り場面積約3万平方Mの大型店を開業予定で、世界各国の取引先から調達したオリジナ必商品を販売する。
 ゼファーも跡地に、総戸数が千数百戸の大規模分譲マンションを建設する計画だ。   (日経新聞 2003/12/11より)

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ザウスの基礎データー (2006/ 5/15Up)

ザウス=SSAWSの語源はSpring/Summer/Autumn/Winter/Snowで1年中滑れる、の意。
開業: 1993年7月15日
閉館: 2002年9月30日
料金: 1日券・大人5,400円
     子供4,100円
入場料・大人2,200円
     子供1,000円
滑走代250円/15分
リフト: 3基
スノボ: 時間により前面滑走可
ゲレンデ: 標高80〜0m・全幅約100m・全長約490m
駐車場: 1,100台(1日1,000円)
アクセス: JR京葉線・南船橋から徒歩2分
京成線・船橋競馬場駅より徒歩20分
京葉道路花輪ICより1km
建造費: 約400億円
解体費: 約40億円
  • vol.9 見守ります。ザウス解体。(DION ウワサの現場)より 
      (dion.ne.jp/→auone-net.jp/に代わり、2007/10/29現在は消滅)
ららぽーとスキードームSSAWS ザウス開業1993年 〜2002年閉鎖
長さ490m、高さ100mのゲレンデを持つ巨大建物だ。
ららぽーとスキードームSSAWS ザウス開業1993年 〜2002年閉鎖
ゲレンデ中間辺りで、左側のコースだろうか?
ららぽーとスキードームSSAWS ザウス開業1993年 〜2002年閉鎖

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最終赤字5億8000万円スノーヴァ (2000/ 7/12)

ブーム去り客数激減 スノーヴァ (2002/ 4 / 5)

株式会社スノーヴァの会社変遷 (2007/ 4/23)

より見やすく、またより検索もしやすいように、以下の、独立ページとしてまとめました。2020/09/20
透明スペーサー
 このすぐ後にも、スノーヴァ話が続きます。

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再建の進む川場スキー場 (2001/ 7/12 + 2005/11/10)

 1989年に、群馬県川場村にオープンした川場スキー場。
 1000台の車が収容可能な8階建ての立体駐車場から、利用者は雪に濡れることなく身支度を整え、ケレンデに直行する。760人が一挙に利用できる広々としたレストラン、加えて東京から2時間という近場。話題、人気のスキー場になった。
透明スペーサー
◇武尊レクリエーション 全国初の民事再生法認可 収益力あるうちにスピード決着
 2000年4月24日、川場スキー場を経営する第3セクターの武尊レクリエーション(現・川場リゾート)が、施行されたばかりの民事再生法に基づく再生手続きを申し立てた。
 負債総額は約126億円。立派な設備への投資が重荷となった。
 ただ、過大な負債を背負っていたとはいえ、資金収支の面では黒字を保っていた。99年度のシーズン入場者は20万5000人。ピーク時の35万6000人には及ばないが、わずかながら増えつつあった。
 危機の発端は97年8月、主要株主で事業主体だった中堅ゼネコン(総合建設会社)の大都工業の会社更正法申請に遡る。株式の75%は大都グループが握り、運転資金も大都からの融資で賄っていた。
 大都の更生法申請後、大都の持ち株は川場村などが引き取った。村の経済に与える影響も大きいため、債権者もひとまず静観の姿勢に入ったものの、宙ぶらりんの状態が2年間続いた。
透明スペーサー
99年7月、第2の危機が訪れた
 公的機関の整理回収機構(RCC)が突然、預金の仮差し押さえを申し立てた。資金がなくなれば、次のシーズンの営業は不可能となり、武尊レクは破産に陥る。
 それまで銀行団が組んでいた協調体制は、この一件で壊れてしまった。多比羅弁護士は直ちに債権者間の調整を開始。交渉は難航したが、債権者間で預金を平等に分けることで決着した。
 ただ、「いつまた何が起こるか分からない」ところまで、武尊レクが追い込まれた。営業を続行して資金が入ってくれば、また返済に取られてしまうかもしれない。この年の営業資金の約9000万円は、村役場の有志がかき集めて用立てた。
透明スペーサー
 「民事再生法しかない」と多比羅弁護士が考え始めたのは、まさにこの頃だ。
 ただ、スポンサーのいない再生計画は、どうしても弁済期間が長期にわたってしまう。事実、2000年4月に再生手続きの申し立て時の再建プランは、再生債務を37年かけて分割弁済する内容だった。当然、債権者との調整でも、長期の計画は「ノー」だった。
 債権者との調整を進めつつ、多比羅弁護士はスポンサーを探し続けた。
 昨2000年7月18日の債権者集会で、斑尾高原開発をスポンサーとして、
「担保権者の日本政策投資銀行を除く、再生債権者6者の債権元本の9.5%を1カ月以内に弁済する」
という再生計画が認められ、同日裁判所から再生計画の認可が下りた。
 4月24日の申し立て以来、3カ月弱というスピード認可は、全国初の再生認可事例となった。
 しかし一般的に、経営不振状態が続けば続くほど、事業の価値は低下していく。会社に魅力があるうちでないと、スポンサーもつかない。「実際問題として、スポンサーがつかなければ、ずるずるといってしまったのではないか」。
透明スペーサー
◇初年度3億円弱の黒字達成
 深夜から訪れる客のために居酒屋を設けたり、子供向けスキー教室を開いたりして客単価を上げた。さらに斑尾スキー場との共同キャンペーンなども実施。昨シーズンの入場者は約20万人と若干の減少にとどめた。
 収益面でも3億円弱の黒字を計上、初年度としては上々と言える。斑尾は滞在型、川場は日帰り型とタイプの違いで補い合うとともに、食材の共通化や人員の有効活用などで相乗効果を狙う。
    (以上は、日経ビジネス 2001年6月11日号より要約)


 ちなみに、スキー場門題で頭を抱えている大鰐町議員の有志?たちが、この多比羅弁護士を訪ねていますが、「事業利益の生めない大鰐スキー場の場合には、民事再生法の適用による復活はムリ」と諭されています。(当HP管理人)
透明スペーサー
◇ところがその斑尾高原開発が民事再生法を (2005/11/10)
 2005年4月に、斑尾高原開発(飯山市)が民事再生法の適用を申請。負債約52億円。2005/09/01? OPEパートナーズ(東京・港区)が、川場リゾートの73%の株式を取得した。買収額は明らかにしていない。
 川場スキー場は100億円以上を投じて1989年に開設。ピークの92年度に35万6000人だった利用客が、昨'05シーズンは12万8000人に減り、金利負担に耐えられなくなっていた。
 OPEパートナーズ(東京・港区)は、オリックス系の投資会社で、経営不振のスキー場の再生事業を始める。まず川場スキー場(群馬県川場村)を運営する川場リゾート(同)を買収した。2005年内にも300億円程度のスキー場再生ファンド(基金)も立ち上げ、今後2〜3年で10〜20カ所買収する方針だ。

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北のリゾート王 加森観光 (2003/11/24)

(加森観光)グループ構成図(但しスキー場関係に限定)
リゾートマネージメントアルファリゾ一卜・トマムの運営
サホロリゾートサホロリゾートの経営
テイネハイランドテイネハイランドの経営
テイネオリンピアテイネオリンピアの経営
中山峠スキー場山

山田温泉ホテル
ニセコひらふの天然温泉
夏油高原開発夏油高原スキー場の経営
岩手ホテルアンドリゾート安比高原スキー場の経営など
函館不動産管理横津岳スキー場の経営アートホテルズ
裏磐梯猫魔ホテル
猫魔スキー場

米コロラド州
スティームボート・スキー場
89年に取得、97年に売却
米カリフォルニア州
ヘブンリー・スキー場
90年に取得、97年に売却
 北海道の登別温泉にある 「のぼりべつクマ牧場」。開園は1958年。年間の来場者数は25万人前後と最盛期の半分程度だが、入園料などクマ山から上がる売り上げは6億円弱。利益も毎年確保している。
経営の信条は「進化論」
 このちっぽけなクマ山を足がかりに、「リゾート再建王」に上り詰めた男がいる。加森公人(60歳)。北の豪族、加森観光の社長だ。90年代後半から経営に行き詰まったリゾートの買収や運営受託を積極的に進めている。その主な案件は以下の通りだ。
◇今年6月に破綻した仙台の不動産業者、閲兵精麦(せきひょうせいばく)が開発を進めた北海道占冠村(しむかっぷ)の「アルファリゾート・トマム
◇セゾングループ傘下の西洋環境開発(2000年7月に特別清算)がフランスの地中海クラブと提携し、開発した北海道新得町の「サホロリゾート
◇リクルート創業者、江副浩正が心血を注いだ岩手県の安比高原スキー場と、盛岡グランドホテルを経営する「岩手ホテルアンドリゾート」
透明スペーサー
 買収にはカネをかけず、従業員も解雇しない。しかし加森が手を入れるとなぜかリゾートは再生する。外資ばかりが目立つ再生劇の中で異彩を放つ。
 非上場だけに、グループの全体像は謎に包まれている。本誌が独自に入手した資料によると、北海道のルスツリゾートを経営する加森観光を中心に20社以上グループ会社がある。
 同グループが運営するスキー場は126コースと道内ーの規模を誇る。ゴルフ場207コース、ホテルの部屋数も4300室を超える。ルスツリゾートの遊園地、オーストラリアのコアラ牧場。貸しビル事業も。北海道の地場企業という枠を超えた、日本有数のリゾート企業である。
 連結売上高は約400億円(2003年3月期)。グループの司令塔である加森観光は売上高163億円、営業利益も12億円に達する。もっとも、自己資本比率は2%に満たず、約10億円の資本に対して、長短借入金は約300億円、ゴルフ会員権などの長期預り金も100億円を超える。
銀行を助ければ金儲けになる
 利回りを羅針盤に、加森はインフレとデフレを巧みに乗り越えた。地価と物価が上がり続けた70年代後半から80年代半ばにかけて、加森はススキノを中心に、40以上のビルを買い漁った。1日に6棟のビルを購入した日もあった。
 ところが、87年を境に加森はビルの購入をぴたりとやめる。利回りを忠実に守った加森は、結果として日本中が狂乱したバブル経済に踊らずに済んだ。
 国内での投資を控えた加森は海外投資を加速させる。88年、オーストラリアの「ローンパイン・コアラサンクチユアリ」を買収した。次いで89年、米コロラド州の「スティームボート・スキー場」。翌年には米カリフォルニア州の「ヘブンリー・スキー場」を相次いで取得した。このまま、海外投資を加速させると思いきや、加森の目は再び日本に向かった。
 購入した米国のスキー場を97年に売却し、100億円強の売却益を手に入れた。三菱地所が約2200億円を投じて米国のロックフエラー・グループを買収したのは89年。売却で上場以来初の連結最終赤字に陥ったのは96年だ。同時期に買収と売却をした両者にこれだけの差が生じたのは、加森の羅針盤が狂っていなかった証左だろう。
透明スペーサー
 これまで、加森観光は簿価3000億円の不良債権を約110億円で購入し、3000人の雇用を守ってきた。その際も、実際に動かした現金は約20億円に過ぎない。施設を自治体に所有してもらうことで固定資産税の負担をなくしたり、十分な現金収入の出る施設を延べ払いで購入したりすることで、実質的にタダ同然で買収したり、手法は様々だが、できる限り購入価格を下げようとする点は同じだ。
 厳しい購入価格を提示する加森観光を快く思わない者もいる。しかし、加森観光がリゾートを買い叩くのは、雇用維持や地域貢献の裏返しである。
透明スペーサー
 サホロリゾートでは、固定資産税相当分として新得町が加森観光に毎年5000万円を10年間、雇用対策奨励金として支払う。それでも、町民400人の雇用が守られるうえに、サホロリゾートによる税金や食材の購入などで毎年約6億円の効果を町の財政に与える。「リゾートを継続して運営してくれることが最大の地域貢献」と新得町の商工観光課長、貴戸延之も言う。

(日経ビジネス2003年9月29日号より  4ページの記事を要約)

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「敗軍の将、兵を語る」 関 和治氏(関兵精麦社長)
   兄弟の石垣崩れ、トマムで没落 (2003/11/24)

                        (日経ビジネス2003年9月29日号より要約)
盛者必衰か優勝劣敗か----。同じ地方豪族でも明暗はくっきり分かれる。北海道を代表するリゾート「トマム」を開発した東北最大級の不動産企業が、法的整理に追い込まれた陰には、兄弟の骨肉の争いがある。
透明スペーサー
 関兵精麦(せきひょうせいばく・仙台市)は6月16日、674億円の負債を法的整理するため、民事再生法を申請しました。
 経営破綻の直接の原因は、北海道占冠村(しむかつぷ)に所有するリゾート施設「アルファリゾート・トマム」の会員制宿泊施設の預託金にあります。今年2月から総額156億円の償還が始まりましたが、資金調達がうまくいかず、自力再建を諦めざるを得ませんでした。
 トマムはスキー場やゴルフ場、宿泊施設などを備えた道内最大級の総合リゾート施設です。関兵とグループ会社のアルファ・コーポレーション〈AC)が1980年代から開発を進めてきました。しかし、バブル崩壊で、会員権販売が不振に陥り、98年5月にACが約1000億円の負債を抱えて自己破産しました。関兵はACに200億円超の債務保証をしていたため、その破産は以降の経営に重くのしかかりました。
 加えて、地価下落の影響で本業の宅地販売事業も低迷しました。デフレ下で販売価格の下落に歯止めがかからず、坪単価はピークの3分の1に下がっています。
 今後は、トマムの施設を売却して、本業の宅地販売事業に経営資源を集中し、再建を果たしていきたいと考えています。
父は71年に高額納税者番付で全国1位に
 関兵は、父の関兵馬(91年死去)が55年に設立した会社です。精麦業から不動産業への業態展開は見事に成功し、関兵の事業規模は飛躍的に拡大しました。
 私は6人兄弟の末っ子で、上に兄3人と姉2人がいるんですが、、。
 トマムは83年、光策が関兵で指揮を執る形で開業させました。6年後の89年に光策がACを設立し、以降は同社が主体となって開発を進めました。このため、ACが98年に破産するまでは、施設の6割を関兵が所有し、残り4割をACが所有する形になりました。
父親の急死で兄第間に確執
 90年代が幕を開けた頃、、。バブルに乗じて施設の売り上げも増え、、。何もかも順調に進んでいた折、突然、不運が関家を襲いました。
 91年3月、81歳の父が急に亡くなったんです。後継体制がほとんど整っていなかった。
 ここから兄弟の葛藤が始まったんです。兄弟の間で争いが生じるようになった。人様にはとてもしゃべれないこともありました。
 最終的には、長男の芳郎が関兵の社長を継ぎ、兄弟が手がけてきたグループ事業は各人がそのまま受け継ぐ形で決着しました。
 90年代半ばになると、バブル崩壊の影響で関兵グループの経営は厳しい局面に立たされました。特に、トマムの開発を手がけるACは、会員権の販売不振で投資回収が困難になり、経営に行き詰まっていました。ACの経営難は、同社に200億円超の債務保証をしていた関兵の経営にも深刻な影を落とすようになりました。
 そんな折、関兵社長を務める長男の芳郎が病に倒れ、次期社長を巡り、またしても兄弟の確執が生じたんです。議論の末、中立の立場の私が社長に就くことになったんです。
関兵を守るため次兄を切り捨て
 私は96年夏に関兵の社長に就任しましたが、当初からACの債訴処理が最大の経営課題でした。97年の夏、ついにACに会社の整理を要求しました。しかし、社長の光策は強硬に反対した。それでも粘り強く説得し、半年ほどかけてようやく光策に納得してもらいました。
 結局、ACの破産に伴い、トマムで同社が所有する4割分の施設は地元の占冠村に5億円で、買い取ってもらいました。また、関兵の所有分も含めた施設全体の管理運営は、道内有数の観光会社の加森観光グループに委託しました。関兵がACの所有分の施設を買い取ればよかったんですが、固定資産税や不動産取得税で数十億円の費用がかかるため、厳しい経営状況下ではそれだけの支出をする余裕がなかった。
 これでようやくトマム問題は片づいた----。この時はそう思いました。当時は、関兵所有分の施設でもキャッシュフロー(現金収支)で約10億円の黒字でしたから、預託金を返済できると考えました。しかし、その後の景気悪化で北海道観光が冷え込み、、。
 兄弟がグループ企業の株を平等に持っていたので、関兵社長の私といえども、リーダーシップを取りにくかったんです。社内をまとめるより一族をまとめる方が大変でした。
 振り返ってみると、関兵社長になって楽しいことは1つもありませんでした。毎日、辛いことばかり。それでも、兄弟の誰かが一族の責任を取らなければならない訳ですから、分不相応とはいえ、私がやらざるを得ませんでした。これも運命なんでしょうね。

(日経ビジネス2003年9月29日号「敗軍の将、兵を語る」より  4ページの記事をスキー関係を主体に要約)

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連載ノンフィクション「幻想曲」孫 正義の軌跡と奇跡
 ◇第2部 (2) 芽生 灰色のリゾート開発 (2001/ 6/24)

児玉 博氏著(ノンフィクション・ライター)  (日経ビジネス 2001年1月8日号より要約)

透明スペーサー
より見やすく、またより検索もしやすいように、以下の、単独独立ページとしました。2020/09/20
 こちらは、「アルツスキー場」を食い物にした元大蔵省高級官僚グループの詳細が、児玉 博氏著(ノンフィクション・ライター) によって克明に取材されています。
透明スペーサー

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アルツスキー場 再生法申請へ (2002/10/16)

より見やすく、またより検索もしやすいように、以下の、単独独立ページとしました。2020/09/20
透明スペーサー

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第3セクターの多くは既に債務超過状態 48リスト (2001/ 4/15 + 6/ 7)

            + 2004/ 8/05追加
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債務超過に陥っているリゾート・観光関連の主な第3セクター(見込みも含む)

会社名所在地売上高債務超過額
   北海道
函館シーポートプラザ函館市3000万円1億7000万円
夕張観光開発夕張市10億円1億9000万円
石炭の歴史村観光夕張市17億円1億9900万円
芦別振興公社芦別市8億5000万円5300万円
室蘭リゾート開発*室蘭市2億4000万円5000万円
旭川神居スキー場*旭川市3億4000万円----
   青森県
弘前リゾート開発弘前市----1億1000万円
スプリングヴィル岩木岩木町--------
大鰐地域総合開発大鰐町2億7000万円20億円
   岩手県
10八幡平観光松尾村10億2600万円
11北上ワシントンホテル北上市10億2億6000万円
12夏油高原開発北上市9億8億5000万円
13りっけん観光陸前高田市6億7000万円2億3000万円
   秋田県
14鳥海高原ユースパーク矢島町1億1000万円1000万円
15秋田駒リゾート*東成瀬村4億5000万円1億2000万円
16男鹿半島観光*男鹿市1億4000万円8億円
   山形県
17東根リゾート開発東根市3億4000万円2億万円
18赤倉温泉リフト*最上町3000万円1億5000万円
   宮城県
19くりこま高原振興公社*栗駒町----4000万円
20花渕山観光開発鳴子町1億8000万円17億円
   福島県
21会津高田リゾート開発田島町7億3000万円4億9000万円
22会津高原観光開発舘岩村20億円14億6000万円
23飯舘楽園*飯舘村5000万円2000万円
24磐梯リゾート開発*磐梯町39億円200億円以上
25横向高原リゾート猪苗代町16億円----
26赤面山総合開発西郷村----4億9000万円
   栃木県
27那須高原リゾート開発*那須町9億6000万円17億円
28ハンターマウンテン塩原*塩原町22億円200万円
   群馬県
29尾瀬高原リゾート*片品村10億円48億円
30嬬恋紀州鉄道リゾート嬬恋村16億円2億円
31白根高原スキーリゾート草津町2億6000万円4億円
32水上リゾート開発*水上町6億円7億5000万円
   新潟県
33新潟ふるさと村黒崎町12億8000万円7億3000万円
   長野県
34阿智総合開発阿智村4億9000万円12億8000万円
   岐阜県
35めいほい高原開発明宝村14億7000万円4億4000万円
   三重県
36志摩スペイン村磯部町165億円30億円
   兵庫県
37神戸マリンホテルズ*神戸市46億9000万円3億円(推定)
   島根県
38ゆうひパーク浜田浜田市5億6000万円7000万円
39琴引フォレストパーク*頓原町2億6000万円12億9000万円
   岡山県
40ヒルゼン観光*岡山市2億7000万円4900万円
41瀬戸内国際観光玉野市13億9000万円9億円(推定)
42王子リゾート*玉野市事業休止1億2000万円
   福岡県
43スペースワールド北九州市92億円170億円(推定)
   長崎県
44長崎サンセットマリーナ長崎市3億4000万円4億8000万円
   大分県
45ハーモニーランド日出町29億1000万円126億円
   宮崎県
46フェニックスリゾート宮崎市185億円1215億円
47五ヶ瀬ハイランド五ヶ瀬町2億8000万円7500万円
48青島リゾート宮崎市16億円10億円(推定)
     (日経ビジネス 2001/ 1/22号より)  日経ビジネス調べ。
 *は入手可能な直近決算期、それ以外は2000年3月期。原データーは東京商工リサーチ。
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◇追加データー◇
三セク処理加速 今年 財団法人を含め21に
 地方自治体が出資する第三セクターや財団法人の破たん処理が加速している。
 東京商工リサーチのまとめによると、2001年1月から6月6日までで、全国21の三セク・財団法人の解散、法的処理が固まった。過去最多の昨年同期(17件)を上回るペース。今後さらに進む見通しだ。
 業種別ではスキー場やテーマパーク経営などのリゾート系が12件と目立ち、地域別では東北が5件、九州が4件と多い。
 「地方行革を求める声に加え、公費を投入してまで存続する事業は少ない。今年は50件前後が処理に向かいそうだ」(東京商工リサーチ)。
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◇追加データー◇ 2004/ 8/05
三セク累損 5,768億円
 第三セクターとは、自治体と民間企業が出資する株式会社。その三セクの経営が一段と悪化している。
 2004年3月末期・日経新聞の調査によれば、100億円超は全国23社。累損の総額は5,768億円で、前期比で452億円増加した。
 収益など見込めない会社が多いなか、破産申請など法的手続きに踏み切る自治体も出てきており、不振三セクへの抜本策は待ったなしの状態になっている。

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このページの新設日 : 1999/07/25.
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